しこり...できもの...いぼ...にきび...etc.etc.
体表面あるいは皮下さらには体腔内であれ腫瘤物ができていることに気づくと、そういった『呼び方』でその腫瘤物を表現し、早速、動物病院を受診されるご家族もあれば、一抹の不安を抱えながらも、わんちゃんや猫ちゃんが元気に生活し、食べてくれていることから、ちょっと様子をみる...ことにするご家族もおられるわけです。
腫瘤物があるとご来院いただいた場合、余程 『できない』 事情がない限り、その必要性をご理解いただいた上で、『細胞診検査』 を実施することになります。細胞診検査の方法については、また別のページで記すことにしますが、ほとんどの場合は日常診療で用いる 『23G針』 と呼ばれる細い注射針を腫瘤物にわずかに刺入して、針先に満たされた腫瘤内の組織をスライドグラスに吹きつけ、染色した上で顕微鏡で観察します。
『23G針』 で穿刺されることが、わんちゃんや猫ちゃんにとってどれほど苦痛かどうか…はいったん保留にしましょう…
27.7%
これは...当院で実施した直近501頭のわんちゃん・猫ちゃんの細胞診検査のなかで、『高い異型度を示す腫瘍細胞』と評価した結果の割合です。
※異型度とは...http://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/ikeido.html
4枚の標本のうち1枚、4頭の検査のうち1頭…
みなさんが『しこり…できもの…いぼ…にきび…』と表現する4つのもののうちのひとつは『悪性腫瘍の可能性』ということになります…
私自身がそうであるように…わんちゃんや猫ちゃんたちも病院にくる事はきっと大きな不安で、細い針とは言え、やはりそれを刺されることは痛く、辛いことだと思います。ただ…病院で受けるべき検査や処置のなかでは、細胞診検査はごく一瞬の我慢ですむものであり、痛みや辛さとしても最低限のものかと思います。ご家族に明るく楽しくご協力がいただくことで、わんちゃん・猫ちゃんたちは検査されたことに気づかずに終わってしまっていることも多くあります。
あくまでも当院での結果ではありますが… 27.7%
今、みなさんが一抹の不安を感じながら...なんとなくやりすごしているその向こうに大きなトラブルが隠れいてる可能性があります。すべての診療で言える事ですが、こと腫瘍医療においては、早く適切に対処することで、その危険を大きく回避することができます。まず…みなさんの大切な小さな家族の身体に起きている問題の本質を正しく理解するところから…がスタートになります。
なんとなくやり過ごしているその漠然とした不安を建設的にクリアにしていくための手法のひとつとして...細胞診検査をさせていただく事が、私たちのお手伝いのスタートになります…
どうぞよろしく御願い致します…
ひらの動物病院.com 獣医師/平野